悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
そして、柳の口から飛び出したのは、亜美とは何の関係もないこと。
「小6の時、お前の集金袋がなくなったこと覚えてるか?」
……何で急に小学生の時の話?
ぽかんとしつつ、あたしの記憶はすぐにあの時のことを引っ張り出す。
あたしが柳から離れて女子校へ行こうと思うきっかけになった、決定的な出来事。
悪びれもせず、『ちょっと借りた』と言った、この人の憎たらしい顔を。
「そりゃ覚えてるよ。だって、柳が盗ったんでしょ」
「あれ、実は俺じゃないんだ」
「……へ?」
声が裏返ってしまった。
だって、たしかに自分で言ってたのに、柳じゃないってどういうこと?
意味がわからないでいるあたしを、彼はまっすぐ見据えてこう言った。
「本当は、藤沢なんだよ」
──ドクン、と心臓が重い音を響かせる。
思いもしなかった人の名前に、目を見開いた。
「……冗談、言わないで」
「冗談じゃない」
「嘘! だって、亜美がそんなことするわけ──!」
「とりあえず最後まで聞けって」
動揺するあたしとは違って、柳は抑揚のない声で宥めるように言った。
そして、あの時の真相を語り始める。
「小6の時、お前の集金袋がなくなったこと覚えてるか?」
……何で急に小学生の時の話?
ぽかんとしつつ、あたしの記憶はすぐにあの時のことを引っ張り出す。
あたしが柳から離れて女子校へ行こうと思うきっかけになった、決定的な出来事。
悪びれもせず、『ちょっと借りた』と言った、この人の憎たらしい顔を。
「そりゃ覚えてるよ。だって、柳が盗ったんでしょ」
「あれ、実は俺じゃないんだ」
「……へ?」
声が裏返ってしまった。
だって、たしかに自分で言ってたのに、柳じゃないってどういうこと?
意味がわからないでいるあたしを、彼はまっすぐ見据えてこう言った。
「本当は、藤沢なんだよ」
──ドクン、と心臓が重い音を響かせる。
思いもしなかった人の名前に、目を見開いた。
「……冗談、言わないで」
「冗談じゃない」
「嘘! だって、亜美がそんなことするわけ──!」
「とりあえず最後まで聞けって」
動揺するあたしとは違って、柳は抑揚のない声で宥めるように言った。
そして、あの時の真相を語り始める。