悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
至極冷静に聞くあたしと、目をまん丸にするリカ。

亜美はものすごく申し訳なさそうに、俯いたまま話す。


「ひよちゃんのこと騙してるみたいで心苦しくて、ずっと謝りたいと思ってた。本当に今さらだけど、私──」

「知ってる」


あたしが言葉を遮ると、亜美は心底驚いた様子で顔を上げた。

目を合わせて、あたしはニッと笑ってみせる。


「実はついこの間聞いちゃったんだよね。でもあたし何にも気にしてないし。もう過ぎたことはおしまいにしよ! さらっと水に流そ、さらっと」


明るい調子で言うと、亜美もリカもキョトンとした。


「あたし達の仲が変わるわけないんだから、もう悩まなくていいんだって。今が良ければそれで良し! ね?」

「……ひよりもバカね」


呆れたように、でもとっても穏やかないい顔で、リカが笑った。

そうだね、アイツの単純さが移ったのかも。

でも本当に、過ぎた過ちをいつまでも気にするのは、時間と気力の無駄遣いかなって思うんだ。


まだ信じられないような顔をしている亜美に、あたしはサラダにフォークを差し込みながら何気なく言う。

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