悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「ここんとこ前以上によく出掛けたり、部屋にこもって何かやってたりするだろ。まさかと思って、男の影がないかさっき秋史くんに問い質したんだ。
そうしたら、最近また柳くんと遊んでるようだって言うじゃないか」


あぁ、バレちゃったか……。

秋ちゃんもお父さんに問い詰められたら、答えないわけにいかないよね。


「そそのかされたり、変な遊びに誘われたりしてないだろうな?」


目を逸らしていたあたしだけど、今の発言には黙っていられず、お父さんを睨み返す。


「何言ってんのお父さん……!? 柳がそんなことするわけないじゃん!」

「昔からひよりは彼にいじめられていたから、あまりいいイメージがなくてね」


秋ちゃんと同じことを言うお父さんは、「それに」と続ける。


「彼は集金を盗んだって前科もある」


──ドクン、と心臓が重い音を立てた。

そのこと、お父さんには話していなかったのに。


「どうして……」

「ずっと前から知ってたよ。担任の先生と柳くんの両親が謝罪してくれたからな。ひよりに嫌なことを思い出させたくなくて黙っていたんだが」


うそ……そんなの知らなかった。

でもよく考えてみれば、お金の問題だからそうするのが普通なのかもしれない。

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