悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
校舎内の至るところに貼ったそのフライヤーを横目に、それぞれのクラスTシャツを着たメンバーと体育館へ向かう。

いよいよ明日に迫った、文化祭の一般公開の準備とリハーサルをするためだ。


「早く明日になんねーかな! わくわくするー」

「そうだな」


ぴょんぴょん飛び跳ねそうな勢いで言う涼平に、俺も同意。

御坂高校の生徒だけじゃない、一般の人達の前でのライブは滅多に出来ないから、皆かなり楽しみにしてるんだ。

ひより達も来る予定だし、俄然気合いが入る。


途中、掲示板を見て話している女子二人組の後ろを通り過ぎる時、俺らに気付いていない彼女達の会話が耳に入った。


「このユアフールのビラすごいよね!」

「うん、メンバーもカッコいいけどイラストも素敵~! 誰が描いたんだろう?」


すごいだろ、それ描いたの俺の大事なコなんだぜ。

と、自分が褒められたわけでもないのに、心の中で誇らしげに呟いてみる。


「これ欲しいー。まだ配ってるのかな?」


その言葉に反応した俺は180度方向転換すると、不思議そうに立ち止まるメンバーを置いて、通り過ぎた彼女達のもとへ戻った。

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