悪縁男子!~心ごとアイツに奪われて~
「でも、もちろんライブだって楽しみだよ。今日は体育館だっていうし、きっとお客さんもたくさん集まるだろうから」


柳が、『人が密集するし動くし、かなり暑いだろうから、それ相応の格好をしてくるように』とアドバイスしてきたほどだ。

いつもの練習を見ているのとは、迫力も全然違うんだろう。

おしゃれは二の次で、Tシャツにショートパンツ姿のリカと亜美も、期待に満ちた顔で頷く。


「ちょっと早めに行ってた方がいいって言ってたし、そろそろ行こうか?」

「そうだね」


ユアフールの出番の前には何組かバンドが控えている。

せっかくだからそれも見ていようと、あたし達はジュースを飲み干して、体育館へと向かった。



「ねぇ、これって入っていいんだよね?」

「え……いいんじゃない?」


すでに演奏が始まっていた体育館の前で、あたし達は若干ためらっていた。

演奏の途中でもずかずかと入っていってもいいものか……。

立ち止まって少し様子を見ていると。


「君達、ライブ見に来たの?」


突然、ドレッドヘアと、とさかみたいに逆立てた赤毛の男の人が、ニコニコしながらあたし達に話し掛けてきた。

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