愛してる


香織ちゃんは箸を置いて、わたしに手を伸ばした。「席も隣だし、転校してきた者同士仲良くしよ!」

これも、何かの縁なのかもしれない。わたしも箸を置いて香織ちゃんの手を取った。箸を持ってない方の手を伸ばしてきた。

「こちらこそ、よろしくね」




お昼を済ませてから、午後の授業が始まるまでの間、校舎を軽く案内してもらう事にした。

改めて見ても、この学校はとても綺麗だ。校舎の裏庭には広い畑や花壇があって色とりどりの花や植物は綺麗に世話がいきとどいている。
教員らしき女性が軍手に長靴で草むしりをしているのが見えた。きっと教員達が交代で世話をしているんだろう。1人では到底無理な規模だ。

昼休みの体育館はとても賑やかで、ボールのつく音や、生徒たちの声が響いている。中を覗くと、男子生徒がバスケの試合をしていた。

元気だなあと感心していると――その中に知っている顔を見つけた。

上杉先生だ。先生は男子生徒達にまざってバスケをしている。

率直にーーかっこいい。
それに、バスケは無知なわたしでもわかるくらい上手だ。慣れた手つきでボールを操り、生徒たちをスルスルとかわしていく。

っていうか、はしゃいでる?


「咲ちゃん、上ちゃんに見とれてるでしょ?」

不意に耳打ちされて、顔が熱くなった。事実なだけに決まり悪い。

「……上杉先生って、人気あるよね」

「かなりね!だって、あの顔だよ?男子にも女子にもモッテモテ」
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