愛してる
そりゃあそうだ。"若くてイケメンの先生"は、どこの学校でも女子生徒の憧れの的だ。
しかし――楽しそう。
肩を組んだりふざけてパンチし合ったり、教師と生徒というより友達同士みたい。
「子供みたい……」
「ん?なんか言った?」
無意識に口に出ていた。「ううん、なんでもない」
先生が好かれるのは見た目だけじゃない気がする。こんなふうに生徒と対等に接する事が出来るから生徒も先生を慕うんだ。
しばらく見ていると、先生がこっちに気づき手を振ってきた。生徒達のブーイングを受けながらこっちに向かってくる。
「2人とも、お昼は食べたの?」 先生の息は軽く切れている。
「咲ちゃんと学食でラーメン食べたよー」
「お、いいねえ。ここのラーメンおいしいもんね。僕も食べれば良かったな」
ふと気になって聞いた。「先生は何を食べたんですか?」
「ぼく?弁当だよ」
疑問に思ったことを、代わりに香織ちゃんが聞いてくれた。
「ちょっと、お弁当ってまさか、誰かの手作り!?」
先生は笑って首を振った。「残念ながら、コンビニのお弁当です」
内心、ホッとした。ーーなんでそう感じるんだろう。
先生はわたしと香織ちゃんが一緒にいることに興味をもっているようで、何か言いたそうだ。
「上ちゃん、あたしたち友達になったんだー!」
突然、香織ちゃんがわたしに腕をからませて、"友達宣言"をした。小学生みたいな言い方にわたしは笑ったが、先生は嬉しそうに微笑んだ。
「そっか。――良かった。富岡さんも転校してきたばかりだしね。お互い仲良くやってね」
本当に心配してくれてたんだと思う。先生の優しい顔を見て、それが伝わってきた。それにわたしも安心した。