真夜中のパレード


素材は悪くなさそうなんだが、
とぼんやり考えてしまう。



「来週の金曜にある飲み会のことだが……」



そこまで言って、
上条は透子のパソコンの画面に釘付けになる。


「すみません、まだ返事してなかったですね。

参加でお願いします」



申し訳なさそうに笑う透子には構わず、
身体を乗り出して画面をじっと見つめた。


「……七瀬、これは何だ?」



透子は不思議に思いながら、小さく首を傾げた。


「これは、木本さんに任された仕事です。
今日の五時までに仕上げてって言われて……」


上条は途端に怒りを瞳にたぎらせ、
フロアを見回した。


透子は彼の変貌にびくっと身をすくませる。


上条は後ろの机で仕事をしていた木本を見つけると、
鋭い声を飛ばした。


「おい、木本!」


木本は驚いた表情で顔を上げる。


というかその時フロアにいた全員が凍りついた。


木本も自分の呼ぶその声の雰囲気から、
何かよくないことが
起こったのを察したのだろう。


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