真夜中のパレード
心臓をぬるりと触られたような、
不気味な心地だった。
まるで蛇のように、細長くて粘着質な物に
巻きつかれたような。
その言葉自体はやわらかくても、
冬馬の眼光に鋭い光が宿ったのを
上条も見逃さなかった。
おそらく、この男は見た目ほど軽くはないのだろう。
少なくとも天音さんのことを
とても大切に思っている。
それは今までの言葉や態度から、
痛いくらいに伝わってきた。
自分は試されているのだろうか。
天音さんの恋人に、ふさわしいかどうか?
そう考え、上条は慎重に言葉を選んだ。
「いや。
別にそれならそれで、いいと思う」
「ふぅーん。
元の顔がどんなに醜くても?」
「自分の外見が気に入らなくて、
それを医学で修正する手段があるなら、
利用するか否かは個人の自由だ。
ずっと塞いだ気持ちでいるよりは、
整形することで前向きに人生をおくれるのなら
悪いことではないだろう。
少なくとも俺は、そういう考えだが」
冬馬はつまらなそうに言い捨てた。
「模範的な回答だ」