真夜中のパレード


「いいよ、今回は俺が誘ったんだから
俺が払う。
なるべく借りは作らねー主義なんだ」


どうにも機嫌が悪いようだ。


上条は席を立ってコートを着ながら
冬馬に問いかけた。


「今回って、次回があるのか?」


すぐさま言い返してくる。


「ねーよ、そんなもん!」



その顔を見て、思わず笑ってしまう。


冬馬は決まりが悪いように上条を睨みつけた。


「おい、何笑ってんだよ」



上条は天音が冬馬のことを大切な友人だと言ったのが、
納得出来た気がした。



気まぐれで口は悪いけれど、素直な男だ。


確かにこんな男が近くにいれば、
天音さんも幾分元気がもらえるのかもしれない。


そう思って、少し安心したような気がした。
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