真夜中のパレード


そして自分を起こしたのは



――やっぱり七瀬透子、だった。



上条はこわばった顔で透子を見つめる。



透子はそんな彼の心情には気づかず、
クスクス笑っていた。


「上条さん、疲れているんでしょう。
今日は切り上げてゆっくり休んでください」



「……あぁ、そうだな」


生返事をしつつ、めまぐるしく思考した。



まただ。


天音さんと七瀬を似ていると感じたのは、
一度や二度じゃない。


最初は……。


そうだ、蕎麦屋で一緒に昼を食べた時だ。
あの時は偶然だと思った。


そして二回目は、木本が仕事を押し付けていることが
判明した時。


けれど……。




上条は顔をしかめ、
帰り支度をしている透子の後ろ姿を睨みつける。




最初は、小さな。



でも確実に、降り積もっていく違和感。



七瀬に、問いかけてみようか。



『お前は一体、何者だ?』




想像するだけで、失笑がもれそうになる。


自分は一体、七瀬透子にどんな回答を期待しているのか。



上条はその考えを振り払い、
透子に声をかけた。


「七瀬」


「はい?」

< 177 / 307 >

この作品をシェア

pagetop