真夜中のパレード



今思っていることは、
全部なかったことにしないといけない。



天音さんを裏切れない。


七瀬透子だって、望んではいない。




天音の顔を思い浮かべ、
上条は強く自分の手のひらを握りしめた。




だけど。


もしかしたら。



そんな思いが、頭を掠める。


透子は静かに涙を流して泣いている。




上条は何も言わずに、俯いて目蓋を閉じた。


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