真夜中のパレード



ぺたりと床に足をついて座り込む。



「う、うわあああああああああああっ」


もう我慢しなくていい。


そう思うと涙は止まらず、

大声で子供のように泣きじゃくった。



そして自分を抱きしめてくれた

あの人はもういないのだと理解し、

より苦しい気持ちになった。


今度直樹さんに会ったら、

彼に強く抱きしめてもらおう。



そうしたら、悲しいことも辛いことも全部忘れて、

幸せな気持ちになれるから。



そう、思って、ずっと、


病院でも、会社でも、


彼に触れたかったのを、我慢して、



ずっと――



「あ、っ……!」




馬鹿みたいだ。



嫌われたって、当然だ。



ずっと嘘をついていたんだから。

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