真夜中のパレード

「だから、
今すぐ結論なんかいらねーっつっただろ」


透子は小さく息を吐き、
眉を寄せる。


「でも……多分、どれだけ時間が経っても
変わらないと思うんだ」


「へぇ」



「だって私の中では、冬馬は冬馬だし」


冬馬は呆れたように顔をしかめ、
首を傾ける。


「何を当たり前なことを」

「だ、大体冬馬、彼女たくさんいるでしょ!?
今何人いるの!?」


「さぁ、五人か?
セフレも含めたらもっとだけど」


「せっ……」




あまりにかけ離れた世界の話に、
目を白黒させる。


冬馬は依然として
ぶすっとした表情のままだった。


「お前が俺のこと見てくれるんなら、
そんなもん、全部切るよ」


真剣な瞳に、鼓動が高鳴った。


その言葉が、

自分の感情にまったく、

何の波も立たせないと言ったら。



――やっぱりそれは、嘘になる。


「嘘」


「嘘じゃねーよ。
何なら今ここで別れてやろうか?」

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