真夜中のパレード


四人がけの机を確保し、
そこに昼食を並べて円のように座る。


「四月なのに新しい人入んなかったねー」


野田が残念そうにサラダをつつく。


「イケメンの新人君期待してたんでしょ?」

「そうそう、もう超残念なんだけど」


透子もクスクス笑いながら話に耳を傾ける。


「でも五月くらいに新しい人入るらしいよ」


「まじで!? 若い人!? 独身!?」

「目の色変えすぎだから」


他愛のない話に透子も思わず笑顔になる。


「そういえば、
うちのフロアからは誰か出て行ったりしないの?」


そこで桝田が深刻な表情で顔を寄せる。


「あのさ、まだ噂なんだけど」


「何なに?」


「上条さん近々本社に異動になるらしいよ」



……え?


透子は思わず、箸でつかんでいた魚を取り落とす。


ぎゅっと手を握りしめ、
硬い声で問いかける。
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