真夜中のパレード


紅茶を飲み終わると、今度は並びにある店で時間を潰そうとアクセサリーを見た。



「あ、これかわいい」


透子は小さな花がついたネックレスを指でつつく。


「天音さんに似合いそうですね」


名残惜しそうにネックレスを見送った。


「でもちょっと予算オーバーでした」


映画を見終わった後は、特に何をするか決めていなかった。


上の階にある本屋によって、特に目的もなくふらふらと新刊のコーナーを眺める。
でもこうやって特に予定がないのに気まずく感じないのは珍しいかも。


店内は広く、歩きまわっているうちにいつのまにか上条はどこかに消えてしまった。
そのうち会えるだろうと洋書のコーナーをぼんやり眺める。


透子は未だに不思議な気分だった。


自分がこうして休日に彼と会っているのもだし、いつも仕事をしているイメージしかない上条と映画を一緒に見たのも変な気分だった。


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