ツンデレな君
クラス替え
高校二年生になり、クラス替えがあった。

同じダンス部の子が何人か居て気分が上がる中『柿橋知也』 の文字も見つけた。

やった!同じクラスだ!

心の中で叫ぶほど喜んだ。

誰にもこんなこと言えない。

でも、今年こそはお話してみたい。

私の目標、それは『柿橋知也とお話をしよう!』だった。

笑ってしまうかもしれないが、

至って真面目である。


自己紹介の時は瞬きせずに彼を見ていた。

あんな声だったっけ、あんなに笑う人だったんだ。

色々な新しい情報が私の頭の中のノートに書き込まれていく。


話しかけよう、話しかけよう、
そう思っていたはずが、いつの間にか
季節は巡り夏になってしまった。


夏休み前の期末テストの時、私はノートを集める係りだった。

片割れがサボって帰ってしまった為、一人で整理していると

「これ、一冊出し忘れてた」

そう言ってノートを持ってきたのは
柿橋知也だった。

「あ、ありがとう!」

緊張してこれくらいしか言えなかった。

しかし、彼は私をじっと見ている。

視線を感じた私は彼の方に顔を向けると、

「あの時の…階段の時の人だったんだ」

そう言われた。

「覚えててくれたんだ…」

「だって、お礼も言えないままだったし、上履きの名前覚えてたから」

彼は私のことをずっと覚えててくれたのだ。

そして、私を探していたという。
「あ、手伝うよノート運ぶの」

彼の手は大きくてゴツゴツしていて
男の子の手だなと思った。

「ありがとう」

大したことは言えなかったけど、
やっとお話が出来て本当に嬉しかった。


夏休み中も部活で何度か彼を見かけた。

目が合う度に軽く微笑んでくれる彼に
惹かれていったのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰っても一日中彼のことばかり。

メールとかしたかったけどアドレスを聞く勇気は無かった。



その日は夢を見た。

顔はよく見えなかったけど、私の手を引っ張って走る男の子。

その背中を私は見たことがある。

いつもオシイところで終わってしまうのが夢だ。

いつも通り朝を迎えた。


いや、いつもよりムカムカした朝を迎えた、にしようかな。


明日から三連休ということもあり、
みんな喜んでいた。


そんな中、寝起きも良くなかったせいか、素直に喜べない私。

それに、あの彼とも会えないとなると
三連休ですら夏休みと同じくらい
長く感じてしまう。


すると一人のサッカー部の男の子が立ち上がり、

「注目ー!明日〇〇高校と試合やりまーす!来たいやつ挙手〜」

サッカー部は明日試合をするらしい。

オイシイ話でわあるが、手を上げることは出来なかった。

うちの学校は、昨年からセキュリティが厳しくなり
小さな試合でもチケットが必要になってしまったため、チケット無しには試合を見ることが出来ない。


今回も見れないか…。

顔には出さないがこれでもかなり落ち込んでいた。

そんな時、
「試合いくー?」
そう言ってきたのは私に彼を教えてくれた友達だった。

彼女もサッカー部の中に狙ってる人がいるらしい。

彼女も、って…好きとはまだ言っていないがサッカー部を応援したい気持ちは強い。

友達が柿橋知也にチケットをくれるよう頼みに行った。


ところであの子はサッカー部の誰が好きなんだろ…?

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