«過去アリ少女と訳アリ集団»



「……」



そんな周りの喧騒に目もくれず、黙々と辞書を読むのはこの集団のリーダーである、3年の珊(サン)だ。



自称好奇心旺盛らしいが、誰も彼をそのような目では見ていない。いや、見れない。




というのは、珊自身ほぼ喋らないからであって、伝達事項も、感情も、要望さえも全て時雨が代弁するのがお決まりである。



したがって、無言。終始無言。



先程枯葉を呼び止める為に喋ったから今日はもう喋らないだろう。



珊がつらつらと言葉を並べることはまず無い。





─パフンッ。




幾重にも重なった紙の束同士のぶつかる音により、会議の開始が合図が出された。




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