«過去アリ少女と訳アリ集団»
◇時雨said
騒がしい連中が解散した後、残ったのは俺と珊。そして、転校生。
「もう用件済んだし、帰っていいよ?」
そう声を掛けると、素直にコクリと頷き、帰っていった。
それを目で見送り、彼女がドアを締め、足音が遠ざかっていくのを確認した後、俺は珊の方へと振り返り、こうたずねた。
「異例と特例。またなんでこんなことを…?」
「…分からない」
珍しく歯切れの悪い回答に驚く。
「分からないって…」
そこまで言うと、察してくれという視線を感じ、渋々珊自身の口から聞くことを諦めた。
「…お人好しなのは分かるけど、あの子に手を出さなくても…」
そう言うと、珊は少し顔をしかめた。
「俺は…お人好しなんかじゃない。むしろこの場合は、相当たちが悪い…」