«過去アリ少女と訳アリ集団»
Δそれぞれの役目
Δ時雨said
「あいつ、いつになったら来んの……」
シンと静まり返った生徒会で、都環の声はやけに響いた。
その独り言でもある問いに答える者は居らず、ただ、コポコポと淹れたての茶をマグカップに注ぐ水音だけが、鳴り続ける。
全員分淹れおわり、部屋の真ん中にあるローテーブルに各々のマグカップを持って行きながら
都環に問いかけてみる。
「都環は張り合う相手が減って寂しいのかな?」
すると案の定都環は噛みついてくる。
「はあ!?別にそんなこと考えてねえし。つか、お前がならなくていいっての」
なんだバレたかと薄く笑い、奥の書斎にいる珊のもとへも届けようと足を運ぶと、そのやりとりを見ていた梓人と稀人はやはりこちらも案の定、都環につっかかってきた。
「「じゃあ僕らが…」」
「お前等は最初からレギュラー入りしてんだろ!!つか俺の最大の敵お前等だよ!!宿敵はあくまでお前等だからっ!!」
「都環ちゃん…」
「そんなに俺らのことを想って…」
「その嫌がらせでしかない勘違いやめろ!!
はいはいそこまでね、といつもの絡みを終わらせた後に書斎のドアをノックする。
「…時雨か。入れ」
珊の許しをもらい、中へはいると、珍しく辞書を閉じ椅子の背ごと窓の外へ向け、外の景色を眺めていた。
「…ここの所、侑麻が来ていないみたいだが…」
視線は窓の外に向けたまま、いつもの抑揚のない声で尋ねてくる。
「うん。都環が寂しがるほどにね」