禁じられた放課後
ゲームセンター、ファーストフード。
直哉は人混みの中に美咲の姿を探す。
危険な目に合っていなければいいが……。
いつもこの辺りでたまっている生徒には手を焼いている。
そのことは直哉もよくわかっていたし経験済みだった。
そして路地に近付いた時だった。
その向こうから勢いよく美咲が向かってくるのが見える。
「美咲!」
直哉は勢い余る美咲をその場で抱きとめた。
美咲は何が起こったのか瞬時には判断がつかず、しばらく直哉の胸元で挙動不振にうごめいた後、ようやくその視線を直哉に合わせた。
「直哉!わ、私は……」
「吉原先生ーっ」
後ろから浦辺が走ってくる。
息を切らしながら美咲を確認し、それから直哉に向かって言った。
「先生、良かった。今展望台の方で叫び声が聞こえて、それで……よくわからないんですけど、鞘野先生が下りて来て、えっと……この方も下りて来て。とにかく山根先生と早川先生が上に向かったんですけど」
「浦辺先生、美咲をお願いします」
直哉の脳裏にはなぜか涼香が浮かんでいた。
もしかして……。
そう直感的なものが走ったのだ。
美咲を浦辺にあずけ、自分は路地の方へ走って行く。
「直哉!行かないでよっ」
美咲の声に一瞬立ち止まったが、再び直哉は展望台へと走り出した。
浦辺の隣で美咲が泣き崩れる。
繁華街の賑やかさが辺りを包み、やがてその様子を人混みに隠していった。