先生の手が触れる時

「……千冬さん?」

ディスプレイに移る名前にハッとする

そういえば、優人が来ていない

急いで電話に出る

「もしもし」
『…ちょっと!大丈夫なの?』
「え?」
『…優人が出ていったと思ったらさっき帰ってきて……お父さんがいたから帰ってきたって言うから…』

優人、お父さんがドアの前にいたの見てたんだ…

「……大丈夫です。でも、優人に伝えてください。しばらく、あの家に私はいないって」
『ちょっと…それって!』
「ごめんなさい。千冬さん…巻き込んでしまって」
『…………』
「ありがとうございます」

私はそう言うと、電話を切る


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