先生の手が触れる時

うつむきがちに笑うと、凜はうーんと首をかしげて
私を見て、にかっと笑った

「そうでもないかもよ」
「……え?」

私がその答えに首をかしげていると、晴夏のバンドが始まり、凜は慌ててカメラを構える

演奏中たまに照らされる光がお客さん側を照らす
その光が当たったとき、先生の姿を見つけ、一瞬、目があった気がした
でも、私は気づかないふりをした

目があったと思いたくて、でも思いたくなくて

結局私は考えることを放棄したんだ


こうして、私の高2の文化祭は

少し苦い思い出を残して幕を閉じた




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