先生の手が触れる時

凪としっかり話したのは
買い出しを頼んだ時だったな

重い荷物を持ってふらふらしてる彼女を見て、少し笑ってしまった

影があると思ったけど、彼女は夏休み明けから少し変わった

良く言えば明るくなった
悪く言えば空元気

不思議に思ってたが、凪がたまにみせる影のある表情で分かった気がした

あぁ、別れたのか…そう思った

でも

買い出しのあと教室に顔をのぞかせた緑川先生を見ている彼女の横顔は、緑川先生を先生として見てる視線ではなかった

まだ、好きなのがわかるような、どこか辛そうなその視線を遮るように俺は凪の前に立った

何故、こんなことをしたのか、自分でも良くわからなかった

『私も、凪で良いよ』

そう笑った彼女の顔を思い出す

レシートなんて、いつでも構わないのに俺はそれを口実に彼女の視線を緑川先生から外させた

そして俺はちらり、と緑川先生の視線を見る

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