【完】あたしはニセカノ。
「これ、お前のじゃね?」


って、顔写真と見比べながら、差し出してきた。


冷えきった体と心に、


春の陽だまりが訪れた気がした。


おまけに、頭に降り積もった雪をはらってくれて、


しかも涼くんが巻いていたマフラーを、あたしの肩にかけてくれたの。









もう…


好きになるしか、ないよね。


マフラーを返したいからって名前を聞いても、教えてくれなくて。


「その前に受かるかどうかわかんねーし。俺がいたら、そんとき返して」


って、


そう言われたの。


そして結局、


名前を教えてもらうこともなく、


あたしたちは、そこで別れた。




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