クールなお医者様のギャップに溶けてます
あと一ヶ月か。
今から緊張しても仕方ないけど、やっぱり緊張するなぁ。
挨拶の仕方とか手土産とか考えなきゃ。
あと、洋服も買おうかな。

「何考えてる?」

「先生の実家に行く時の事を少々。」

「その日、親の承諾を得たら出勤前に指輪買いに行こうか?」

「あの、それはありがたいんですけど、結婚に関してちょっといいですか?」

「なんだ?」

「私、先生と結婚したいと思います。でも、家を出るまでにはもう少し時間が欲しいんです。」

この前のお母さんの『結婚するその日まで一緒にいて欲しい』という言葉が忘れられなくて、いつかは出て行くにしても、家族が揃って結婚へ意識を向けていく時間が必要だと思った。

「それは構わない。承諾さえ貰えれば式を挙げる日だって籍を入れる日だって、ゆっくり決めていけばいい。亜樹とご家族との時間を早々に奪うつもりはない。」

「あと、仕事を続けたいんです。」

主婦業が向いてないから、とか先生に尽くせないから、じゃなくて、せっかく身につけた大好きな仕事を辞めたくはなかった。私にとって仕事は生き甲斐だから。

「それも構わないよ。仕事を頑張る亜樹は好きだからな。」

「嬉しいですっ!ありがとうございます!」

どちらもダメかと思った。
だから余計に嬉しくて、先生に飛び付いてしまった。
私にしては大胆な行動。
冷静になった所で勢いよく離れる。

「す、すみません。」

「謝らなくていい。ほら、こっちにおいで。」

おいで、と言われると行けない。
固まっていると先生の方が近付いてきて抱き締めてくれた。

「身体が少し冷えちゃったな。」

「すみません。私が話しをしてたから。先生、早く休みましょう?」

「あぁ。じゃあ、寝室に行くか。」

そう言うと先生はエアコンを切り、私の手を握り締めたままリビングの電気を消した。


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