クールなお医者様のギャップに溶けてます
「百合子…」
「聡さん…」

…?

私は一体、何を見させられているんだろう?
2時間ドラマなら間違いなく刑事が乗り込んで来て、この中の誰かを犯人と決めつける。
昼ドラならなんとなく私が悪者っぽい。
連続ドラマなら『運命の再会、このあとの展開は…次回へ続く』だ。

高そうな調度品が並ぶ部屋だからそんな風に思ってしまうのかもしれないけど、不思議とそんな映像が浮かんできてしまうほど、役者のような顔立ちの面子が揃い、異様な空気を醸し出していた。

「百合子さん、こっちに座りなさい。」

ダンディー父に呼ばれると百合子さんは品良くダンディー父の隣りに座り、私と正面から向き合う。

「百合子さん、彼女が亜樹さんだ。」

「初めまして。百合子です。」

「初めまして。本山亜樹です。」

何、この挨拶⁈
ていうか、間近で見るとほんと可愛い。顔は陶器みたいにツヤツヤだし、頬もピンクで愛らしい。まるでモデルみたいだ。
じぃっと見ていたら百合子さんは照れたように頬をさらにピンクに染めて俯いてしまった。
その仕草もまた可愛い。

「亜樹さん、百合子さんは聡さんの婚約者なんですよ。」

誰もが教えてくれなかった事実を、お茶を配る美人母がコソッと教えてくれた。

「え?」と先生の方を向くと先生はダンディー父を見ている。

「俺は亜樹との結婚をお許し頂きに来ました。百合子はもう関係ないはずですが?」

「百合子さん、聡はこう言っているけど、どうなんだ?」

「私は…今でも聡さんが好きです。今日まで聡さんに尽くしてきたつもりです。足りなかったならこれからいくらでも努力します。だから、私と結婚して下さい。」

想像を裏切らない、可愛くて、か細い声。
それでも、言いたい事、百合子さんの気持ちが短い会話の中に要約されているから誰も聞き返さない。

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