クールなお医者様のギャップに溶けてます
先生は私の強さに惹かれたって言ってたけど、百合子さんも十分強いじゃないか。
多分、逃げ出した私よりもはるかに強いはずだよ。

「あの、百合子さんに一つ聞いても良いですか?」

「なんでしょう?」

「先生は百合子さんに家庭的な女性を求めたんですか?」

「はい。家事をしてくれて助かる、とよく言ってくれます。」

やっぱりね。

小学生の頃、家事で苦労してきた父親を見ていれば家庭的な女性に憧れても不思議じゃない。
私には従順な女性に心は動かなかった、って言ってたけど、それはきっと違う。たとえそれが事実であっても、従順な女性を拒否する理由にはならないはずだから。
私はただ、多くの意味で、父親に対して当てつけるために選ばれただけだ。
百合子さんと話せて良かった。それを確信出来た。

「亜樹さんから聡さんにお話をして頂けませんか?」

「分かりました。先生には私から話しをします。ただ、私の気持ちの整理がつき次第なので少し待っていてくれますか?」

「分かりました。ありがとうございます。お願いします。」

ウルウルした瞳で見つめられたら女の私でも惚れちゃいそうだ。

「私と先生、多分喧嘩になると思います。だからもし先生が凹んでいたら百合子さんが慰めてあげて下さいね。」

「え?喧嘩、ですか?」

「そう。百合子さんは先生に睨まれた事ってないかもしれないけど、私はしょっちゅう睨まれて、そして、睨み返すんです。大丈夫。もう慣れたもんです。」

「そう、ですか…。」

「あとはよろしく頼みましたよ。」

コクっとまた可愛く頷く百合子さんと別れて家に帰る。

お母さんには色々聞かれたけど、疲れてると言って逃げた。

先生からの連絡もないし、これで本当に終わりだ。

短かったな…。
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