クールなお医者様のギャップに溶けてます
「先生、それはひどいです。私だって利用されてるんだって疑いましたよ、先生の事。」

ダンディ父と同じように私も父親への当てつけに利用されただけだと思っていた。
先生を信じなかったのは私も同じだ。

「それでもお互いちゃんと話して、ちゃんと理解すりゃいいんだ。聡くんは親父さんと話しをするのが嫌いか?」

話しを黙って聞いていたお父さんがフォローに入る。

「当時の私は幼くて、心のバランスが上手く取れませんでした。母に見捨てられ、新しい母に父を取られ、二重にショックだったんです。だから父に反抗しました。でも、亜樹と出会い、愛情を知る事で、愛する事と家族の大切さに気づきました。
父は私を守り育ててくれたたった一人の父です。大好きな父親です。今まで反抗的な態度を取り、申し訳ありませんでした。あと、お母さん。父を支えてくれて、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」

その部屋にいる全員が目に涙を浮かべている。
涙を堪えきれなかったのは神野夫妻となぜか私の父。

お母さんが側に寄ってティッシュを渡すとブーンと豪快に鼻をかむ。

せっかくの良いシーンが台無し…。
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