幼なじみの彼と彼女
「梓!」

パドック向こうの通路から紀香が手を振っていた。

梓が喜んで駆け付けると紀香の横には武紀もいた。

ドキッ…

「へえ、なかなか可愛い」

武紀が褒めるので耳まで赤くなるのがわかる。

「柏原くん!」

中にいる祥太郎に紀香が声をかける。

祥太郎はこちらを向いた。

「頑張ってよ!」

祥太郎は少しだけ笑みを浮かべて片手を上げた。



梓はその様子に不安を感じる。

元気が全くない。

父の病気が良くないのは前からだけど。

この様子はそれだけが原因ではない。

…自分に原因があるのかも。

梓はみんなに気付かれないようにため息をついた。
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