彬へ・・・。
2日目の帰りのバスで彬と一緒になった。
顔には出してないつもりだったけど・・嬉しくてたまらなかったんだよ。

バスの中で、あなたと夕飯の話をして、「どこで食べてる?」と聞かれて「部屋で一人で・・」と答える私に、彬、あなたは初めて食事に誘ってくれたね。
バスが止まり、ホテルに着く。フロントで鍵をもらいエレベーターへ。彬は「すぐね!すぐ♪」なんて、もう友達みたいだよね・・私達・・。

すぐね!と言われたので部屋に入ってすぐ、ロビーに戻った。
でも、すぐね!と言った彬はまだ来てなくて、1分後くらいにロビーに来た。「遅刻〜」(笑っ)って恋人気分な私・・「ごめん!ごめん」って彬が笑ってた。


でも、なんだか回りからみたら恋人同士に見えるのかな?なんて勝手な想像ばっかりしてた、あの頃の私は。

ホント、バカだな・・
私って・・
釣り合わないのわかってるじゃない・・
わかってるよ・・
わかってる・・・。


食事はテーブル席で食べた。向かい合うのが恥ずかしかった私は、目を合わせられずに食事した。


でも、そこで思い知らされたのは、私達が似た者同士で話が合いすぎて、楽しすぎて、この時間が終わらないでほしいと、神様に少しだけ願った。


願ったけど、うまくいかず食事は終わり、エレベーターで部屋に戻る。


食事中、話してた共通の好きな歌手の歌をあなたは、エレベーターという二人だけの個室で、口ずさんだ・・

私の好きなラブソング。

そんなの歌われたら・・落ちないわけないじゃない。

戦略?落とす秘訣?


私はまんまと、その戦略に落ちて・・落ちて・・彬なしで生きていく意味が・・意味までもが、わからなくなってた。

私の部屋と、彬の部屋は1階だけ違って、吹き抜けのある、このホテルでは階は違うけど部屋は上で近かった。


だから、いつもね・・
先にエレベーターを降りる私に「おやすみ」と愛おしい笑顔をくれた・・それだけで幸せな気分になれるのは、私が単純だからだったの?



彬の笑顔は、私の心を乱し、もっと、もっと彬がほしくなった。


彬が欲しい。

手放すなんてできない。
ずっと側にいてほしい。
いつしかこれしか思えない自分がいた。
< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop