天狗娘は幕末剣士
繋いだ手から、斎藤さんの想いが伝わってくる。
この人は、本当に私の事を大切に思ってくれているんだ。
「だから、杏子」
「はい」
「俺が必ず、お前を守る」
「っ!」
その言葉に、胸がドキッと鳴った。
不謹慎かもしれないけど、そんな風に言ってもらえるなんて、嬉しかった。
「ありがとうございます、斎藤さん」
私が笑ってみせると、斎藤さんも笑顔になってくれた。
拝啓、天国のお母さん。
どうやら私は、本気で斎藤さんに恋をしてしまったようです。
もののけが人に恋をするのは……
いけないこと、でしょうか。