好きな人はニセ彼女。
……所詮ニセモノだったのに。
私は、何を期待してたんだろう。
『奈菜ー!』
パッと振り返ってみれば、クラスの子が私のことを手招きしてた。
私?
私を呼んだ彼女の元へ歩いていってみれば、
「………っ、」
『悪い、放課後時間ある?』
瀬戸が少し、困ったような顔をして立っていた。
………今日は、心がやたらと忙しい気がするよ。
本当に。
「平気」
そう言って笑えば、『ありがと』って言ってクラスへ帰ってく。