キミノ、テ。
第四章 覚えてる?
男が帰ったあと、智子はクスリと笑った。
そして、男の座っていた席にある食器を片付け、
キッチンの横にある扉から、二階へつながる階段を上った。
この喫茶店は、智子の住んでいる家でもある。
階段を上ると、そこは1LDKの部屋になっている。
以前は母と二人でここに住んでいたが、
母が亡くなってからは、智子一人だ。
部屋に入ると、智子は自分の書棚から、
一つのアルバムを取り出した。