オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
「今から私がこれを飲みますので、それを見届けて貰えないでしょうか?」
「へっ?」
この人、何を言ってるの?
水を飲むのを見届けて欲しいって?
おかしな事を言い出した彼を見据えると、
彼はこれ以上無いほどに張り詰めた雰囲気を纏っていた。
京夜様から大体の事は窺っている。
天宮製薬は今、役員が二手に分かれ抗争中なのだとか。
イベント前に応接室で話をしていた天宮社長の言葉を思い出す。
『抗争と言うには不可解な点も多くて、困っている所だよ』
応接室には極限られた人間しか居なかった為、
言葉を滑らせたのかもしれないが、
あの時の天宮社長はとても真剣な顔つきだった。
それらが1つの線になって真横の彼の言動に繋がる。
もしかしたら、この水にも何かが隠されているのかもしれない。
SPをしている父親から嫌という程教わって来た。
『敵は姿があるとは限らない』
一瞬で思考が辿り着いた答えは……。
「私で宜しければ………」
「有難うございます。万が一の時は、あの2人に気付かれる事なく、別の場所に連れて行って貰えないでしょうか?」
「……………はい、承知致しました」
彼に小さく頷くと彼はボトルの蓋を開け、それを一口口に含んだ。
すると――――、