オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「今から私がこれを飲みますので、それを見届けて貰えないでしょうか?」

「へっ?」


この人、何を言ってるの?

水を飲むのを見届けて欲しいって?


おかしな事を言い出した彼を見据えると、

彼はこれ以上無いほどに張り詰めた雰囲気を纏っていた。



京夜様から大体の事は窺っている。

天宮製薬は今、役員が二手に分かれ抗争中なのだとか。

イベント前に応接室で話をしていた天宮社長の言葉を思い出す。


『抗争と言うには不可解な点も多くて、困っている所だよ』


応接室には極限られた人間しか居なかった為、

言葉を滑らせたのかもしれないが、

あの時の天宮社長はとても真剣な顔つきだった。


それらが1つの線になって真横の彼の言動に繋がる。

もしかしたら、この水にも何かが隠されているのかもしれない。



SPをしている父親から嫌という程教わって来た。

『敵は姿があるとは限らない』


一瞬で思考が辿り着いた答えは……。


「私で宜しければ………」

「有難うございます。万が一の時は、あの2人に気付かれる事なく、別の場所に連れて行って貰えないでしょうか?」

「……………はい、承知致しました」


彼に小さく頷くと彼はボトルの蓋を開け、それを一口口に含んだ。

すると――――、


< 110 / 456 >

この作品をシェア

pagetop