オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


――――コンコンッ


「………はい」


控室のドアがノックされた。

一瞬で室内に緊張が走る。

ノック音に反応するように、彼女は俺の手をパッと離した。


すると、母親と共に数人の使用人と

両親の護衛をしている連中が室内に入って来た。


「京夜悪いけど、席を外して貰えるかしら?」

「はっ?………どういう意味?」

「変な勘違いはしないで?人前に出て写真を撮られるのに、自分だけ綺麗な格好で希和さんはどうでもいいの?」

「………それは……」

「解ったら、大人しく待ってなさい。吉沢、京夜をお願い」

「はい、承知しました。………京夜様を」

「御意」


母親傍付の執事・吉沢が護衛の連中に指示を出すと

あっという間に体躯のいい男共に取り囲まれた。


「京夜様、暫しの辛抱でございます」

「おっ、おい!吉沢っ!俺をどこへ連れて行く気だ!?」

「失礼致します」

「おいっ、俺は無視かよっ!!」


護衛の男連中に強制連行される俺の横で

吉沢は母親に優雅にお辞儀をしている。


そんな俺らを希和は唖然と見入っていた。


「希和っ!必ず迎えに来るから!!」


彼女の返事も聞けぬまま、俺は控室から排除させられた。


「おいっ、お前ッ!!俺様に気安く触んなっ!!」

「申し訳ありませんッ!!ですが、今暫くご辛抱下さいませっ」

「京夜様、ほんの1時間の辛抱でございます」

「はぁ?1時間?!っんなに待ってられるかってのッ!!」


怒りをストレートに表しているというのに、

俺の少し前を歩く吉沢は至極冷静であった。


< 125 / 456 >

この作品をシェア

pagetop