オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
――――コンコンッ
「………はい」
控室のドアがノックされた。
一瞬で室内に緊張が走る。
ノック音に反応するように、彼女は俺の手をパッと離した。
すると、母親と共に数人の使用人と
両親の護衛をしている連中が室内に入って来た。
「京夜悪いけど、席を外して貰えるかしら?」
「はっ?………どういう意味?」
「変な勘違いはしないで?人前に出て写真を撮られるのに、自分だけ綺麗な格好で希和さんはどうでもいいの?」
「………それは……」
「解ったら、大人しく待ってなさい。吉沢、京夜をお願い」
「はい、承知しました。………京夜様を」
「御意」
母親傍付の執事・吉沢が護衛の連中に指示を出すと
あっという間に体躯のいい男共に取り囲まれた。
「京夜様、暫しの辛抱でございます」
「おっ、おい!吉沢っ!俺をどこへ連れて行く気だ!?」
「失礼致します」
「おいっ、俺は無視かよっ!!」
護衛の男連中に強制連行される俺の横で
吉沢は母親に優雅にお辞儀をしている。
そんな俺らを希和は唖然と見入っていた。
「希和っ!必ず迎えに来るから!!」
彼女の返事も聞けぬまま、俺は控室から排除させられた。
「おいっ、お前ッ!!俺様に気安く触んなっ!!」
「申し訳ありませんッ!!ですが、今暫くご辛抱下さいませっ」
「京夜様、ほんの1時間の辛抱でございます」
「はぁ?1時間?!っんなに待ってられるかってのッ!!」
怒りをストレートに表しているというのに、
俺の少し前を歩く吉沢は至極冷静であった。