オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


「希和さん」

「………はい」


お母様はとても優しく私の手を取った。

そして、こんな私に深々と頭を下げて――――。


「今日までの長い年月……不肖の息子の為に、そして私達親の為に………辛い想いをさせてごめんなさい」


震える声音は、お母様の本心だという事を示している。

きっと、これが私に向けられる最後の愛情。


「とんでもないです。お顔をお上げ下さい」


お母様の手をギュッと握りしめ、お顔を覗き込むように膝を折る。

大きな瞳には今にも溢れそうなほど涙が滲んでいる。


「正直申し上げますと、辛い事も多くございましたが、それ以上に私は倖せでした。このご恩は一生忘れません」

「…………希和さん」


お母様の瞳から大粒の雫が零れ落ちた。

これ程に思って頂けただけで充分だ。

そもそも住む世界が違い過ぎたのだから……。


一瞬でも、彼の隣りにいれた事を誇りに思おう。

胸が締め付けられるほど苦しいけど、今は感謝の気持ちの方が大きい。


私は更にギュッと握りしめ、笑顔でお辞儀した。


「本当に有難うございました」


ゆっくりと握りしめる手を緩めると、


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