オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
右肩のそこへ視線を向けると、彼の手が置かれていた。
すぐさま左側に座る彼へと視線を移すと、
「スクリーンは向こうだぞ?」
「えっ………あ、はい////」
今にも唇が触れそうな距離。
優しく微笑む彼がいる。
クイッと顎でスクリーンを促す姿は、
どことなく照れているようにも見て取れた。
きっと、こういうごく普通の恋人同士がするような時間を
私が憧れていると気に掛けて下さったみたい。
本当に優しくて、私には勿体ないほどの人だ。
私はここぞとばかりに甘える事にした。
だってこんな贅沢な時間、二度と無いかもしれないもの。
彼の身体に身を委ねるように
私は大画面を眺めながら彼に寄り添った。
純愛ラブストーリーの作品だったけど、
それほど感動する程の内容でも無かった気がする。
だって絶対、私達の方が何十倍も純愛ラブストーリーに違いないもの。
映画館を出て、私達はまたふらふらとショップ巡りを始めた。
「希和、何か欲しい物は無いのか?」
「へ?……う~ん、今が倖せ過ぎて思い浮かばないです////」
「フッ、何だそれ」
私の手を握る彼は、ちょっと照れたように笑った。
だって、本当の事だもん。
こうして隣りに貴方がいるだけで、十分満足だから。