オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


駆け込むように車に乗り込むと、車はすぐさま発進した。

そして私は……。


「申し訳ありませんっ、申し訳ありませんっ!申し訳ありませんっ!!」


膝頭に額を打ち付ける勢いでお母様に謝罪した。

すると、そんな私の頭を優しく撫で、手にそっと手を重ねて……。


「希和さんが謝ることは何一つないのよ?逆に私の方が謝らなくては……。顔をあげてちょうだい?」


お母様に優しく促され、ゆっくりと顔をあげると。

お母様はとても柔和な表情で両手を包み込んで下さった。


「20年近くもの長い年月、京夜の為に日陰の人生を歩ませてしまって……、本当に申し訳なく思ってるの。一日も早くお式を済ませて、堂々と日向の人生を歩んで欲しくて」

「お母様……」


優しいお言葉に涙腺が緩む。

自分では、日陰の人生だと思った事は一度もなかった。

父親の教育は厳しかったけど、

今の幸せに続く道だったと思えば何てことない。


握られた手を握り返し、笑顔で応えると。


「明後日が楽しみだわ」


ウフフッと柔らかな笑みを浮かべ携帯電話を取り出し、

先ほどの事態を収拾する為、秘書を通して関係各所に手を回す手配を……。


さすが、お母様。

こういう事には慣れてらっしゃるようだわ。

私も素早い対応を見習わないと……。


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