オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
京夜side
結納前日。
午前中に希和を実家へ帰らせ、俺もまた外出準備を。
ダークグレーのスーツを身に纏い、
シンプルなブラックアリゲーターの時計を身に着けて。
毎日仕事で着ているスーツであっても、今日ばかりは違う。
大きなイベントを成功させるよりも、
売り上げを大幅にアップさせるよりも難しい。
だからこそ、必ずや成功させねば……。
姿見の前で最終チェックを施す。
髪は乱れてないか?
髭の剃り残しはないか?
ネクタイのディンプルは歪ではないか?
これでもかというくらい確認した上で、自宅を後にした。
見慣れた門前に車を停車させると、ゆっくりと門が開く。
その門をくぐり、車をエントランスに横付けすると、
待ちかねてたかのように、使用人と共に母親が姿を現した。
「遅かったわね」
「準備は?」
「出来てるわ」
母親が執事の吉沢に指示を出すと、
使用人が車に荷物を積み込み始めた。
初めての事で分からないから母親に任せたが、
予想を超える荷物の量に一瞬唖然としてしまった。