オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
本当は桜が満開になる頃に式を挙げたかったが、
仕事に夢中になっていたばかりに気付けば、5月に入っていた。
彼女に毎日のように希望を聞いても、彼女は“特にない”の一点張り。
結婚に対して、夢が無い訳じゃないだろうけど。
もしかして、もう少し先にしたいのだろうか?
結婚したいと思っているのは、もしかして、俺だけか?
元々、彼女は自分の事は後回しにする性格だ。
いつでも俺の立場や世間体を気にする。
彼女がどういう結婚をしたいのか、
一番大事な事が何一つ分からない。
何度聞いても“俺に任せる”と言うばかりだが、
だからと言って、言葉通りに勝手に決める訳にもいかない。
正直イラつく事も無い事もないが、
彼女との未来があるのだから、何だって許せてしまう。
俺らは一週間かけて結婚式の日取りを決めた。
一先ず、結婚式だけ先に行う事にした為、
挙式を彼女の誕生日の10日後にした。
―――――6月12日
ヨーロッパでは、幸せになれると言い伝えられている日だ。
6月と言えば、ジューンブライド。
神話を気にする俺ではないが、
彼女の心が幸せになれると思えるのならば、俺はそれを叶えたい。
その後、彼女と何度も話し合い、
挙式はロサンゼルスの教会で挙げる事にした。