オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
希和side
挙式を三日後に控え、
三カ月先の披露宴の詳細も着々と決まり、
何もかもが倖せ色に塗り替えられていく。
………たった一つを除いては。
数か月前から呪いのお札かと思えるような不気味な封書が届く。
しかも、その封書の中には何故か私の大学時代の写真が封入されて。
部活動やサークル活動のかなり個人的な写真なのには、正直恐怖すら覚える。
送りつけて来た人は、私が知っている人?
写真の持ち主が第三者に手渡したとして、何も疑わずに渡したのかしら?
もしかしたら、相手が私だと知って加担してるって事?
それならそれで、物凄く腹が立つ。
苦楽を共にした仲間が私を売ったということだもの。
そんな悪に満ちた感情を京夜様に向けられたという事が何より許せない。
京夜様はこういう陰湿な嫌がらせ自体慣れている様子で
至って普通に過ごされている。
クールフェイスを崩す事はあっても、消して取り乱したりしない。
それが唯一の救いだわ。
ここ数か月、未だかつてない不安に駆られ、私は疑心暗鬼に駆られていた。
見るもの全てが敵に思えてならない。
挙式はロサンゼルスの教会で、お互いの両親のみという形にして貰った。
だって、その方が安心出来るもの。
だけどその代わり、披露宴は前代未聞と言っていいほどの規模らしい。
普通なら幸せムード一色になっていてもおかしくない、この時期。
けれど、あの封書が届く間は決して気を抜けない。
私の勘がそう言っている。
世界的に有名な御曹司の妻になるという事が、
こういう事を含めたものだという事は重々承知の上なんだけど……。