オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
膝をつき、必死に頭を下げる。
どんなに心の底から謝罪したとしても、決して許される事じゃない。
大事な大事な娘さんに取り返しのつかない傷を負わせてしまったのだから。
「京夜君………。何故、ここにいるの?………あの子と一緒に…………飛行機に乗ってるはずじゃないっ!」
その場に泣き崩れる彼女の母親。
取り乱すのも当然だ。
本当なら、今頃太平洋の上空を飛行しているはずなのだから。
母親が彼女の母親をそっと抱き寄せ、背中をさする。
彼女の母親は声にならない嗚咽を漏らしながら、両手で顔を覆って……。
必死に堪えていたのだろう。
だが、さすがに堪えきれなくなった俺の母親もその場に泣き崩れた。
俺は本当に親不孝者だ。
今までも散々心配掛けて来たというのに。
やっと、漸く安心させてあげれると思ったのに。
なんでこうなるんだ。
無力の自分が恨めしい。
28年もの長い時間、俺は一体何をしてたんだ。
一番大切な女性(ひと)すら守ることも出来ずに………。
更に一時間が経過した頃、血相を変えた彼女の父親が到着した。
「申し訳ありませんっ」
謝って済むことじゃない。
けれど、謝らずにはいられなかった。
「京夜君が悪い訳じゃない」
「いえ、全て自分が悪いんです」
「そう自分を責めるな」
膝をつき土下座する俺に、彼女の父親は優しく手を差し伸べる。
「あの子はそんなに柔じゃない。この私が育てたんだ。………きっと、大丈夫」
俺を責めることもせず、優しい言葉をかけてくれる。
本当は辛く悲しく遣りきれず、怒鳴り付けたいだろうに。
その懐の深さに、心が締め付けられた。