オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


手首をガシッと掴まれ、向かった先は……。


「えっ、何ですか?!………ここ」

「見ての通りだ」

「いやいやいやいや、聞いてませんよっ!こんな所があっただなんて……」

「フッ、当たり前だろ。話したことはないからな」

「ええええええぇぇぇぇぇ~~~っ!!」


発狂したくもなる。

だって、目の前には、ショッピングモールや駅構内でよく見るような飲食街が!

都内屈指の高級タワーマンションの4階フロア―には、有名どころの店舗が軒を連ねていた。

しかも、3階はクリニック専門エリア、2階は食品、日用品、雑貨を扱うショップがあるという。


いつも地下駐車場から直接最上階へと移動している為、

そんな店舗が入っているだなんて知らなかった。


ツーリングや散歩の帰りにコンビニやドラッグストアーに寄ることはあっても、

まさかまさか、マンション内にこんなところがあるとは………。


「灯台下暗しですね」


唖然とする私に、彼は更に爆弾を投下した。


「で、どこにする?」

「へ?」


腕組みしながら顎で店舗を指した。

寿司屋、とんかつ屋、天婦羅屋、ラーメン屋、蕎麦屋。

フランス料理、イタリア料理、中華料理……。

勿論、和食処まであるのだから、選びようがない。

億ションとも言えるこのマンション内に店舗を構えるのだから、それ相応の味と値段に違いない。

私は思わずゴクリと唾を飲み込んだ。


すると、彼は私の顔を覗き込んで。


「決めないなら、俺が決めるぞ」

「あっ、はい!どうぞどうぞ~」


待ちきれないのか、彼は踵を返して歩き出した。

向かった先は………。

えっ?!

そこですか!?

私は思わず自分の目を疑った。

だって、彼が立ち止まったのは………。


< 350 / 456 >

この作品をシェア

pagetop