オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ



超高級タワーマンションの裏手にある閑静な住宅街の一角から1台の車が発進した。

車は首都高速都心環状線を南へと走行し、

ほどなくしてレインボーブリッジを左に捉えながら、湾岸道路を直進。



























「6930円になります」

「……お釣りはいいです」

「えっ?こんなに沢山。……本当に宜しいんですか?」

「はい。ジュース代にでもして下さい」

「すみません、有難うございます」


後部座席の客から1万円札を受け取った運転手は、

満面の笑みでトランクを開け、荷物を取り出す。


「お気をつけて、いってらっしゃーい」


深々とお辞儀する運転手を横目に軽く会釈し、

キャリーバーに手をかけると、8輪キャスターが勢いよく回転し始めた。

つば広の帽子を目深に被り、人波を縫って進んで行く。



















********



「Good afternoon,ladies and gentleman.
Welcome aboard …ーー…
Your captain today will be Daniel Meyer,…ーー…
We are now ready for departure.
Please make sure that your seat belt issecurelyfastened.
Our flight time to Munich Airport is expected to be 11hour(s)and 50 minutes.
Your cabin attendants are looking forward to servingyou.
We hope you will enjoy your flight with us.
Thank you.」


小さな窓から青空を眺めていると、

イヤホン越しに流暢な機内アナウンスが微かに聞こえて来た。














全てを忘れ去るかのように









静かに瞼を閉じた。



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