オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ


時間を確認すると16時30分を回ろうとしている。

俺は慌ててとある店へと連絡を入れた。

もちろん、希和を連れて行きたい店に。

自室である専務室から飛び出るようにして急ぎ足で自宅へと急いだ。





自宅があるタワーマンションの地下駐車場に到着した俺は、

希和を呼び出そうと携帯を手にしたのだが、

女性は準備に時間が必要だと思い、一旦自宅へ向かうことにした。


1秒でも早く会いたい。

そんな風に思うようになるだなんて、

1年前の俺には想像もつかなかっただろうな。

そんな事を考えながら、専用エレベーターで最上階へと向かう。


自宅がある最上階のあるフロアは全て自分の家なのだが、

エレベーターを下りてすぐに玄関というのが嫌で、

一応、通路のようなエントランスのような場所が設けられている。

昔は観葉植物と絵画、彫刻くらいしか置いてなかったのだが、

希和と生活するようになって、

少しラグジュアリー感を出したいと思うようになり、

ちょっとしたオアシスのような空間を取り入れてみた。

それが偉く気に入った様子の彼女は、

マンション内に高級リゾートのプチガーデンがあると大喜び。

定期的に雰囲気を変えたりして、

彼女を飽きさせないように心掛けている。


その空間を通り抜け、玄関ドアの前に辿り着くと、無意識に頬が緩む。

パスワードを入力してロックを解除しドアを開けると、


「………ん?」


いつもなら、笑顔で出迎えてくれる彼女がいない。

少し待ってみたが、駆けて来る様子もなくて………。


もしかして、横になってるのかもしれないと思った俺は、

足音立てずに静かに歩を進めた。


キッチンに姿はなく、リビングにもいない。

いつもと違う雰囲気を感じながら、彼女の部屋へと向かった。


彼女の部屋のドアを3回ノックし、ゆっくりとドアノブを捻る。

返事が無いのも気になるが、休んでいるのを起こすのは申し訳ないと思って……。


「ッ?!…………どこにいるんだ?」


室内は暗く、シェードも下りている。

エアコンも付いていない室内は蒸し暑く、瞬時に異常を感じ取った。


「希和っ!!」


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