オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
00 インフィニティ・ラヴ
【エピローグ】 希和side
「はぁっ……………んッ…………フゥ~~ッ………」
「あっ、……あのっ」
「…………んっ?」
「…………だっ、大丈夫ですか?」
「……………」
「あのっ……」
「いいから目を瞑って黙ってろ…………もう少しだから」
「…………はい」
何もせずにじっとしているのが申し訳ないというか。
まさかこんなことをするだなんて知らなかったし。
暴れたら余計にご迷惑になるだろうから、
私はじっとして彼からの合図を待つしか出来ない。
ぎゅっと瞼を閉じて『早く、早く』と念じていると。
密着していた体が傾き、やっと地に足が着いた感じがした。
「もういいぞ」
「もういいんですか?…………目を開けても」
「あぁ」
ゆっくりと瞼を押し上げると、そこはどこまでも続く蒼穹の世界。
青空とエーゲ海が織りなすインフィニティな空間で、吹き抜ける風が気持ちいい。
風に靡く髪を手で押さえようとすると、
目の前にいる彼が、そっと手を添えてくれた。
すると、
「おめでとう!」
「凄く綺麗よ~」
「二人ともおめでとう」
「とっても素敵だわ」
彼の後ろから、彼の両親と私の両親が姿を現した。
私は今一度辺りを見廻した。
そこは、エーゲ海に面した崖の上に建つブルードームが印象的な教会。
真っ白な壁とどこまでも続く青い空。
私が夢に描いて来た最高の場所。
ロサンゼルスの教会で挙式する予定だったが、
あの事件が起きたこともあって、
彼は事件を思い出さない為にも挙式の全てを練り直した。
そして、サプライズだからと何一つ教えて貰えず、
私はヘリコプターに乗り込んで直ぐに目を瞑るように言われた。
どこに着いたのか、どんな感じなのかすら分からないまま。
そして、ヘリコプターから降りた私を彼は、
この崖の上とも思える場所まで抱えて来たのだ。