オレ様専務を24時間 護衛する Ⅱ
会場に着くと、スタッフが最終の音響チェックをしている。
「長谷川」
「あっ、はい!」
イベントの指揮を任せてある男を呼びつける。
すぐさま駆け寄って来た男に天宮の重役が来る事を伝えておく。
そして、俺はセット裏(ステージ上のパネルの裏手)に回り
準備が整っているか、スタッフの動きを見て廻った。
「御影専務っ!」
男の声に振り返ると、天宮製薬のイベント担当者がいた。
「今日は宜しくお願い致します」
「こちらこそ。準備は万端でしょうか?」
「あ、はい!お陰様で……」
「では、後程……」
俺は無駄話をせず、パネルの端からステージ上を確認する。
会場には既にメディア各社の大型カメラがズラリと並んでいる。
毎回イベントの度にあのカメラの前に立つかと思うと嫌でしょうがない。
ある事ない事勝手に書かれ、
プライバシーなんてものは生まれてこの方、俺には無い。
今までそれが当たり前だったのに、
今は彼女の為にそんな事さえどうにかしたくて仕方ない。
この、俺の隣りにいる彼女の為に……。