未来を変える殺し屋
「ふん、殴った上に出ていけ、か」


男が痛がる素振りも見せず、また新しい煙草に火を付けた。


「出ていけって言ってんだろうが」


俺はもう一度殴り掛かった。


だが、今度は男に左手で軽く止められた。


掴まれた右手が寸分足りとも動かない。


「いいか、葛城。いい事を教えてやろう。私は占い師だが……」


男が俺の右手の甲に煙草を押し付けた。


「……っ!」


声にもならない声が出る。


「私は占い師だが、殺し屋でもあるんだよ」


男がようやく手を離した。


掴まれた痛みと、煙草を押し付けられた痛みが、拳に根を張っているかのように広がり続ける。


男は背広からボールペンと手帳を取り出すと、それに走り書きをし、紙を一枚破ってちゃぶ台の上に置いた。


「私は占い師だ。真壁千鶴は五日後に死ぬ。その運命を変える事が出来るのは、私だけだ」
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