未来を変える殺し屋
予言
俺はビニール袋に氷を入れ、それを煙草を押し付けられた右手の甲に宛てがった。


最初は痛むが、少し経つと感覚が麻痺し、痛みはなくなってくる。


男は五日後に彼女が殺されると言い、自分は殺し屋だとも言った。


危険な連想しか浮かんでこなかった。


もし五日後に男が彼女を殺そうとしているのであれば、そんなもの占いでもなんでもない。


単なる殺人予告だ。


俺はふと、男が置いていった紙のことを思い出し、それを見た。


そこには、“明日、有名な政治家の汚職報道が流れる”と書いてあった。


「バカな」


俺は手の甲に氷を宛てたまま紙をグシャグシャに丸め、ごみ箱に放り投げた。
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